
デジタルペンテスト部は、IoT機器やネットワークに接続されるデバイスに悪用されてしまう弱点がないか調査する「IoTデバイスペネトレーションテスト」を提供しています。その技術を活かして、実際に運航中の艦艇を想定したサイバー防御演習のレッドチーム(攻撃役)の担当もしています。
参考:船舶のGPS・AISシステムへの攻撃手法~レッドチーム演習の先生をやってきた!~ - ラック・セキュリティごった煮ブログ
こうした取り組みの一環として、防衛関連のイベントや交流会にも積極的に参加し、技術者や関係者とのネットワークを広げてきました。そのようなご縁から、現役の潜水艦「うずしお」を間近で見学させていただける機会を頂戴しました。
こちらの記事では、現役の潜水艦「うずしお」見学レポートや、参加したセキュリティエンジニアの観点から感じた感想などをお届けします。
潜水艦『うずしお』とは?(概要)
潜水艦「うずしお」は、平成12年3月に就役し、現在(2025/7/30時点)で海上自衛隊に配備されている作戦用信用潜水艦の中で最古参の潜水艦です。全長81.7m、高さは10.3mあり、乗員数としては約70名乗れるそうです。
参考冊子:潜水艦うずしお(海上自衛隊)
参考サイト:潜水艦「おやしお」型|潜水艦|装備品|海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト
見学レポート
海に浮上している外観について、記念撮影させていただきました!

艦橋セールは各種マストを格納する部分、潜舵は深さを管制する舵だそうです。

こんな間近で潜水艦を見れる機会はないので、見学参加メンバーも夢中で撮影しました。
外観の見学と撮影を終えた後はいよいよ乗艦です。ここから先はスマートフォンやカメラなどは持ち込み不可のため、荷物を預けて乗艦しました。
甲板を歩いて外側の装備を見学し、「梯子での降下」で中に入りました。梯子が思った以上に距離があったため降りる際に少し緊張しましたが、無事に艦内へ。潜水艦の就役の歴史や内部構造、そして潜航の仕組みについてなど、丁寧な説明を受けました。
艦内は10の区画に分かれていて、その中で見学可能な部屋を見学しました。部屋の間にある防水用扉が狭く、各部屋の移動が結構大変でした。
発令所(操縦や指揮をとる所)や発射管室、科員食堂など、各設備の概要について実物を見ながら解説いただきました。
見学の中で、潜望鏡(狭い空間の内部から外部の様子を観察するための装置)を使用させていただきました!かなり遠くの景色まで鮮明に見えて驚きました。
見学を終えて甲板に戻る際も同じ梯子を上る必要があり、自分の体重を持ち上げられるか不安でしたが、何とかクリア。普段使わない筋肉をフル活用したせいか、翌日はしっかり筋肉痛になりました。
なお、潜水艦内部は思いのほかひんやりとしており、再び外気に触れた瞬間には一気に汗が吹き出しました。
見学に参加したペンテスターや脆弱性診断士の感想
本記事では、公開されている情報を元に執筆しているため、見学に参加したペンテスターや脆弱性診断士の感想で、本見学の有意義さをお伝えできればと思います。
- 潜水艦の実物(外観、内観)を見ながら、各設備や艦内の構造の解説が聞けてとても勉強になり、楽しい時間でした。海の上から見えていた外観から想像していたイメージよりも、潜水艦の中が広く、乗員可能数も多く驚きました。
- 現役の潜水艦内部を案内いただけたのはとても貴重な機会でした。「国防」という観点で「サイバーセキュリティ」を考える有意義な時間でした。あらためてOTセキュリティについても考えなければならないとも感じました。
- 今回の見学をきっかけにとても興味が湧いたので、最新の潜水艦で使われている技術や、潜水艦を構成するネットワークやサプライチェーンなども学びたいと感じました。
- 潜水艦の中での生活方法のイメージが湧いていなかったのですが、食堂見学の際に、食べ物の保管方法(椅子の中に保管する)やキッチンについて、休憩中の過ごし方などを伺い、潜水艦の中でどのように過ごされているかを感じることができました。
- 潜水艦の見学という時間の中で、「サイバーセキュリティの観点で侵入口として考えられるポイントはあるか?」といった視点で色々と見てしまい、自身の職業病を体感しながら潜水艦見学を楽しめました。
メンバーの職種的に、一般の方(?)の見学とは違った観点で楽しい時間を過ごせたようです。今回の貴重な見学体験を活かし、今後も多様な技術知見を深めながらサイバーセキュリティ技術の更なる向上に努めていこうと思います。
おまけ
見学後は、ご紹介いただいた横須賀グルメを食べに行きました。海軍カレー、ネイビーバーガーに並ぶ新たな横須賀グルメである「サブサンド」です。コロナ禍で暗くなった艦内を食で明るくしたいと始まったメニューだそうです。肉厚で美味しかったです、ボリュームすごいのでお腹すかせていくことをお勧めします。

■参考情報
出典:海上自衛隊ホームページ